とわの庭┃小川 糸【著】あらすじ・感想ー盲目の少女から学ぶ「生きているって、すごいこと」

小説

小川糸さんの小説を読むのは、これが2作目。

初めて読んだ「ライオンのおやつ」、今回の「とわの庭」、人生についてたくさん考えさせられました。

美しいことばかりではないし、ショックを感じるシーンもあるけれど、最後は感動で心が満たされます。


とわの庭(新潮文庫)

 

あらすじ

盲目の女の子とわは、大好きな母と二人暮らし。母が言葉や物語を、香り豊かな庭の植物たちが四季の移ろいを、黒歌鳥の合唱団が朝の訪れを教えてくれた。でもある日、母がいなくなり……。それから何年、何十年経っただろう。帰らぬ母を待ち、壮絶な孤独の闇に耐えたとわは、初めて家の扉を開けて新たな人生を歩き出す。清潔な生活、おいしいご飯、沢山の本、大切な友人、一夏の恋、そしてあの家の庭の植物や鳥たち。盲導犬ジョイと切り拓いた新たな世界は、眩い光とかけがえのない愛に満ちていた。涙と生きる力が溢れ出す、感動の長編小説。

(Amazonより引用)

読書感想文 ネタバレなし

とわの心の美しさと生命力の強さがとにかく素晴らしい。

よくぞここまで生きて、素晴らしい人間へと成長したなぁと感動したし、彼女から発される数々の言葉や思考から、人生の希望をもらったような気持ちです。

盲目で、常に大好きなお母さんと一緒に生きてきたとわ。お母さんがいないと生きていけない。お母さんだけがとわの人生。とわとお母さんは相思相愛。

…だったはずなのに、突然いなくなってしまった「大好きなお母さん」

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その後のとわの人生は壮絶。いやむしろ、生まれたときから壮絶な人生は始まっていたとも言える。

とわの生い立ちは、普通では一ミリたりとも考えられない。
私がとわと同じ立場になったとしたら、きっとどうしようもない恐怖感と憎悪でどうにかなってしまうと思う。

それでも周りの人に恵まれて、とわ自らの人生を明るく強く、切り開いていくことができたのは、紛れもなく彼女自身の「心の美しさ」が全てだなと思いました。

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ライオンのおやつ (小川糸/著)」の感想でも同じことを書いたけれど、しっかりと“五感を使って生きる”ことが大事なんだなと改めて感じました。

目が見えなくても、音・におい・触感等の体で感じ取れる感覚を研ぎ澄ませ、自分の中に取り入れてきたからこそ、とわは自ら新しい世界を切り開けたのだと思います。

「生きているって、すごいことなんだねぇ」

とわが言ったこの言葉に、いや、この言葉を言うことができるとわに、本当に感心しました。すごい人だなぁ。

人生は自分自身の行動や思考によって、巡り巡ってくるもの。

人生で出会った人や起こった出来事、何を聞いて、何を考えて、どう感じてきたか、

様々なことを繊細に感じ取り、壮絶な生い立ちを経て、自立した人生が送れるまでに成長したとわは、本当に心が美しくて強い。

とわから人生の希望を見せてもらったと同時に、とわの人間としての魅力をたくさん感じました。

関連紹介

「人生」「生きる」というテーマで考えさせられる小説として、同じく小川 糸さんの「ライオンのおやつ」を紹介します。

辛く苦しい経験も、不幸もたくさん感じてきたかもしれないけれど、最後は全て「感謝」に変える。

命の尊さ、儚さ、人生の深みをグッと感じます。

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