お探し物は図書室まで┃青山 美智子【著】あらすじ・感想—人生で迷った時に助けてくれる本。

小説

就職、仕事、家庭、子育て、将来…
人生の中ではさまざまなステージがありますが、誰でも悩んだり、迷ったり、モヤモヤしたりした経験はあると思います。そして、今後もそのような思いを繰り返して私たちは生きていくんだと思います。

本書は、そんな私たちの人生における「お探しのもの」を見つけ出し、次の人生へと導いてくれる物語です。


お探し物は図書室まで (ポプラ文庫)

 

小説のあらすじ

本書は全5章で構成された物語。それぞれの主人公たちが、人生で何かしらの問題を抱えて生きています。

21歳、婦人服販売員の「朋花」は、新卒で就職した婦人服販売の仕事に特別な思いや誇りを持てず、中途半端な❝何もない❞と感じる日々を過ごす。
35歳、家具メーカー経理部の「諒」は、アンティークショップをいつか始めたいと思うものの、その“いつか”から抜け出せない日々をもがいている。
40歳、今まで仕事に打ち込んできた「夏美」は、仕事と子育ての両立が思いどおりに出来ずに苦しむ。
30歳の「浩哉」は、就職に失敗し今は無職。「働きたい」「働かなければ」と思ってはいるが、現状から抜け出す術が分からずもがいている。
65歳の「正雄」は仕事を定年定職し、今後何をして生きていけばいいか分からず途方に暮れる。

 

小説を読んで~学び・気づき・感想

それぞれのライフステージで、きっと誰もが5人と同じような悩みや苦しみを経験するものではないかと思います。

私自身も、かつて仕事に特別な思いを抱けず、「周りの同期はみんな頑張って前に進んでいるのに、自分には誇れるものが何もない」と落ち込んだ時期がありました。

会社を辞めて無職になって、焦って転職したけど失敗したことも。

「こんな自分が嫌だ」と、自分を責めたり塞ぎこんでしまったりもするけれど、その人生の苦しみは、ほんの些細なきっかけや出会いによって変えていくことができるんです。

その些細なきっかけの一つが「本」であり、本は私たちに人生で必要な「お探しもの」を見つけさせ、次のステージへと導いてくれます。

📙

少し余談ですが、こんな言葉を聞いたことがあります。

「人間にとって一番の悲劇は、この世の中の誰からも必要とされなくなることである。」

確かにその通りかもしれません。

ライフステージによって、自分の立場や環境は変わるのが普通です。自分が求めるものも変わるし、他人から求められることも変わります。

楽しい変化かもしれないし、苦しい変化かもしれません。

ただし、変わっていくことに対して、自分の心が現状や過去に囚われたままでは、これの言う“誰からも必要とされなくなる”になってしまうのではないでしょうか。

大切なことは、現状に満足せず行動し続けることではないかと私は思います。

本やドラマ、映画に触れてみたり、友達や家族と会って話をしたり、勉強したり、出かけてみたり、

些細な日常でも行動していると、ちょっとした発見があるものです。その発見がその時の自分にとって、必要な気づきになり得ます。

つまり、行動し続けることで“縁”が巡って来るということなんじゃないかなと。

何も行動せずにただ生活しているだけの人に、チャンスはやって来ないし来たとしても気づけません。

本を読んだり、人と会って話をしたり、自分が今いるところだけに留まらず、自ら前に進むヒントを見つけて行動したからこそ、本書の5人は各々にとって必要な「探し物=縁」に出会えたのではないでしょうか。

本は、たくさんの言葉を教えてくれます。たくさんの価値観を知ることができます。そして、自分自身を発見することができます。

本から様々なことを吸収し、今より人生をちょっと前向きに進むきっかけにもなる。

本書も、「人生をちょっと前向きに考えはじめるきっかけ」となり、導いてくれる一冊です。

 

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