引用:「傲慢と善良」辻村 深月【著】
本屋で見つけた時、なんとなく読まなきゃ!と思って思わず買った小説。30代の独身女性が人生を生きる中で感じるリアルな「生きづらさ」や「悩み」の答えを見つけられそうな気がする。そんな小説です。
あらすじ
婚活アプリで出会った架と真実。ある日突然、真実が架の前から姿を消した。真実は、以前から「ストーカーに追われている」と怯えている様子だったため、心配した架は警察に捜索依頼をする。しかし、しばらく経っても手掛かりがなく「真実は自らの意志で失踪した」と判断され、捜索は打ち切りとなった。
なぜ真実は自ら失踪したのか?架は真相を探るべく、真実の交友関係に近づき話を聞いていく。知られざる驚愕の事実、真実の失踪の理由は何だったのか―。
小説を読んで~学び・気づき・感想
恋活や婚活で、“謙虚”な人は多いと思う。でも、好みのタイプは?理想の相手は?等と質問するとよくあるのが
「特にタイプとか条件のこだわりはないけど、“やさしい人がいい”」
という、とっても難しい条件(笑)
あるいは、「こんな自分を選んでくれるなら誰でも」とか言う、謙虚を超えて自己肯定感が低い人も。
でも、いざそんな相手に出会ってみると、このような言葉がつい漏れる。
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「やさしい人だったけど、話が面白くなかった」
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「話は面白い人だったけど、割り勘だった」
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「おごってくれたけど、見た目がタイプじゃない」
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「ルックスはよかったけど、彼の仕事がちょっと不安」
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「仕事とか収入はよかったけど、性格が悪そうだった」
理想やこだわりは特にない、自分を選んでくれるなら…なんて謙虚で“善良”だったはずなのに、
結局相手のことを一番選んでいる。傲慢に、自分の方が一つ上の立場にいるみたいに。
ただ幸せになりたいだけ。
そう思う気持ちは本当だけれど、拗らせていると、自分のことすら分からなくなるものです。
何で結婚したいんだっけ?
本当にこの人で大丈夫なのだろうか?
結婚しなくてもいい気がしてきた。
自分の人生を今後どうしていきたいのか、自分は何が欲しいのか、自分をしっかり分かって自立できていないと、いつまで経っても傲慢な婚活を続けるだけ。
マッチングアプリに登録しようと、結婚相談所に入会しようと、
相手のことはよく見るくせに、自分自身のことを理解せずにただ出会いだけ増やしても決められなければ意味がない。
仕事や会社についても同じだと思う。
「給料はいいけど、休みが少ない」
「休みは自由にとれるけど、仕事内容はやりたいことと違う」
「仕事内容は合っているけど、給料が不満」
自分のキャリアプランや就活の軸がなければ、転職サイトに登録しようと、転職エージェントでサポートをお願いしようと、納得できずに決められない。どうしたいのか分からない。
人生は選択の連続と聞いたことがある。
「何を選ぶのが大事か」を考えるより先に、自分はどんな人生にしたいのか?ビジョンを明確に持つことができれば、今まで書いてきたような「婚活迷子」や「就活迷子」にはならないと思う。
現実ではあえて目を背けたくなるような、人間心理の本質やダークな部分をどんどん暴いて、読者を激しく共感させる。
本の帯の言葉にあるように、恋愛だけではなく人生のあらゆる悩みに刺さる小説だと思いました。
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