これから婚活をはじめたいと思っている人には、活動前の予習として。
婚活中の人には、自分と重なるところがないか、探しながら読んでみて。
40代以上の大人の恋愛・婚活を応援したくなる、純粋なストーリーです。
あらすじ
40歳の三文ライター・猪名川健人は、婚活事業を営む「ドリーム・ハピネス・プランニング」の紹介記事を書く仕事を引き受ける。安っぽいホームページ、雑居ビルの中の小さな事務所……どう考えても怪しい。
手作り感あふれる地味なパーティーに現れたのは、やけに姿勢のいいスーツ姿の女性・鏡原奈緒子。場違いなほどの美女だが、彼女は「私は本気で結婚を考えている人以外は来てほしくありません」と宣言する。そして生真面目にマイクを握った――そう、彼女は婚活業界では名を知らぬ者はいない〈婚活マエストロ〉だった。
その見事な進行で、参加者は完全にマエストロ・鏡原の掌の上。彼女は何者なのか、なぜこんな会社で働いているのか、〈マエストロ〉ってなに……謎は深まるばかりだが、猪名川は同社のイベントを手伝うことに。65歳以上のシニア向け婚活パーティーから、琵琶湖に向かう婚活バスツアー(クルーズ船「ミシガン」に乗車)まで。これまで結婚に興味のなかった猪名川も、次第に「真面目に婚活するのも悪くないかもしれない」と思い始める。
ものは試しと他社が運営する婚活パーティーを訪れてみると、そこには参加者として席に座る鏡原の姿があった――。
(Amazonより引用)
読書感想文 ネタバレなし
私自身が「婚活」経験者だからか、この小説は最初から最後まで応援と共感の気持ちでいっぱいでした。
婚活パーティに参加したこともあります。
「プロフィール帳」に自分の自己紹介を記入して、男性たちが数分おきにローテーションで回ってくる。
一人目の男性と当たり障りない自己紹介をして、3~5分経ったら次の男性に交代、あっという間にまた次の男性が回ってきて、と、まるで面接のように進んでいくお見合いパーティでした(笑)
パーティの最後は「マッチング投票」があるのですが、一人3分の自己紹介だけでは何も感じるものもなく、誰にも投票せずに帰っていましたね。
何をしに来たのかさっぱり分からず、出会いを求めて参加したのに、一人で来ては一人で帰る。
恥ずかしいとか、虚しいとか当時は思いましたけど、今となってはこれも必要な社会経験だったのかなと思います。
マッチングアプリも登録してました。
最初は「婚活」というより「恋活」目的で、ペアーズ、with、omiai、この3つはよくお世話になりました。
そこそこ出会いはあったけれど、「結婚」に繋がる出会いには進展せず。
アプリで新しい人に出会うこと自体は楽しかったけれど、それだけ。
アプリで進展していく過程や、デートは楽しいけれど、そこから「結婚」を意識するのはとても難しいというか、変な感じがしていました。
婚活パーティも、マッチングアプリも、お見合いも、
婚活をしていると、最初は思うように事が進まないなと感じて気持ちが複雑骨折することはあります。
いい感じだと思っていた相手とマッチングしなかったり、フラれてしまったり、
あるいは、まだ終わってもいないのに「どうせ自分とは釣り合わない」と被害妄想を広げてしまったりすることも。
その時、「婚活パーティなんか誘われなければよかったんだ」「~(相手の異性)が悪いんだ」と他責思考、責任転嫁をして、うまくいかない自分を必死で守りたくもなります。
だけど、婚活をしている期間って、確実に普段の生活以上にたくさんの人に出会い、その出会いの数だけ自分自身とも向き合うことになります。
みんなそれぞれ必死に頑張っていて、婚活で出会った人はみな、たとえ私との「結婚」に縁がなかったとしても、
その人と出会ったことは、確実に私自身を成長させてくれていました。
よく星野珈琲店や椿屋珈琲店に入ると、お見合い中の男女を見かけることがあります。
男性はスーツにネクタイを締め、女性はたいていスカートにパンプス。
テーブルには、料理やデザートはなく、コーヒーと水のみ。
会話の声は聞こえてこないけれど、初々しい笑顔で話す表情を遠目でみていると、つい
がんばれ!!!
と心で応援しています。