“誰かに信じてもらう。
誰かに頼ってもらう。
誰か、誰か、の誰かって誰なのよ。
そんなことよりも自分を好きでいてくれる人を信じて、自分で自分をちょっとでも好きになろうとすればいいじゃないか。”
引用:「それでも会社は辞めません」和田 裕美(著)
何のために働くのか。なぜ働きたいのか。働いてどうなりたいのか。
社会人として、会社員として働き続ける上で、大切な価値観を思い出させてもらいました。他人軸ではなく自分が大切にしたい“仕事の価値”は何なのか。
「会社を辞めたいけど、辞めたくない。どうしたらいいのか分からない。」
そんな矛盾した気持ちに葛藤している時に出会ったからこそ、心に刺さる言葉がたくさんありました。
あらすじ
人材派遣会社で働く初芽は、営業部での成績がふるわず上司から叱責される日々。
ついに、会社中の使えない社員が集められたという噂のAI推進部へ異動になった。
パワハラ、セクハラの横行する理不尽に耐えるのは、生産性の低い無能な社員だから?
「逃げたらいい」と「逃げ場なんてない」の狭間で揺れ動く初芽だが――。
輝かない人々に当たる心温まるスポットライトは、これまでと同じ世界を新しい見え方へと変えてくれる。
ビジネスの世界に精通した著者が従来と真逆の価値観で描く、決してかっこよくないヒーローたちの物語。
(Amazonより引用)
読書感想文 ネタバレなし
「生産性」
働いていると、「生産性」とか「業務効率」という言葉を意識させられることは多いです。効率よく仕事をこなし、生産性が高い人は“仕事ができる”と評価される。
だけど、仕事において大切なことは「生産性」が全てなのでしょうか?
仕事が遅くて効率が悪い、生産性が低い人材は、会社にとって本当にお荷物な存在なのでしょうか。
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働く理由や仕事に求める価値観は人それぞれ。
とにかく高額な報酬を得ること。そのためには結果を出すことが全てという価値観の人も、
社内でどんどん昇進して役職に就くことに価値を感じる人もいると思います。
そういう価値観の人は、「生産性」や「業務効率」といったことをとても意識して仕事に取り組んでいる印象です。そして、しっかりと結果を出している。
とても優秀だと思うけど、私は「生産性」や「業務効率」を意識する以前に、「世の中や誰かのために貢献できたか」行動することの価値をもっと大切にしたいです。
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業務のシステム化やDX化に力を入れ始める会社は増えているし、「生産性」とか「効率」はITの力でどんどん推進されていくでしょう。
だからこそ、人が働く意味や価値を見失ってはいけないと思います。
それが、「世の中や人のために」という想いをもって考えて行動することなのです。
効率が悪いように見えても、すぐには結果が出なくても、無駄やマイナスと思われるようなことだったとしても、
しっかり「世のため人のため」を想ってしっかり行動したという理由があれば、それに救われる人や喜んでくれる人がきっといます。
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人材派遣会社のAI推進部は、“仕事ができない無能社員の姥捨山”と言われていたけれど、そこで働く人たちはみな、自分が担当する派遣スタッフのためを思い、しっかり考えて行動している人たちでした。
「何のために働くのか」「自分が何をするべきなのか」しっかり考えて行動したことは、会社の将来のためにしっかり蓄積されて、業績に表れるのだと思います。
営業で数字がとれないからといって、重大なミスを犯してしまったからといって、無能なのではない。
「AI推進部」が作られた本当の目的が分かった時は、心が温かくなる思いがしました。
本当に「人を大切にする会社」ってこういうことなのかもしれないと。
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これから先、仕事が辛い、会社を辞めたいと逃げ出したくなったとしても、きっと大丈夫。
何のために、誰のために働くのか。
仕事の価値を自分自身でしっかり見出して行動すること、他人軸ではなく、自分の意志を持って働くことから逃げてはいけないと、希望をもらえた気がします。
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関連紹介
働く上で大切な価値観を考えさせられた小説として「手紙屋」~僕の就職活動を変えた十通の手紙~/喜多川 泰(著)があります。
学生時代の就活を振り返ってみたり、また今後の「働く」を見つめ直すきっかけになった小説です。